新涼の街に日差し煌めいて



 新涼や踊つてゐたる茹卵  木内美保子

 原稿を書き新涼のわが時間  稲畑汀子

 新涼や素肌といふは花瓶にも  鷹羽狩行

 新涼や篝に映ゆる能舞台  志水千代子

 新涼の岬ふちどる灯かな  首藤知茂

 新涼や木椅子は影を長く引き 岩崎皓子

 新涼や潮の香遠き朝の風  稲畑汀子

 新涼の明けの明星待ちゐたり  福田みさを

 新涼や茗荷の載りし朝の卓  能村登四郎

 新涼の眠り深めぬ朝の雨  佐藤悦子

 新涼や若き頃知る人とゐて 平野隆志

 新涼や朝湯帰りの下駄の音   清水和子

 新涼や手足さらりと乾