連載:シニア

「メンテナンス」

友人に電話したが出なかった。このまま帰るのは勿体ない。門扉にぶら下げておこう。

カサブランカが咲いている。来てよかった。念の為インターフォンを押す。友人の声が答えた。私だってスマホの着信に気付かない事はよくある。

元気そうだ、顔色もいい。お洒落している。「上がって」の言葉に甘え、仏前にメロンを供えた。

鐘を鳴らす。よく響くいい音だ。線香の香りが心地良い。友人は日に何度この行為をしているのだろう。

それから彼女が話すままに聞いた。

私は一日を「メンテナンスの日」と決めていた。朝早くからバスで駅前の眼科に行った。同僚が白内障の手術をした病院で、彼女