連載:オカンの一人歩き

「山百合見るなら高尾山」

左手に建物が見えて来た。まさか。ケーブルカーの駅ではあるまい。そうだ。早い。前回より年を取っているのに、疲れない。

ところがそこからがキツかった。緩い坂を行く女坂か、急峻な階段を登る男坂かの分岐点では、当然女坂を行くつもりだったのに、男坂を一人で降りてきた女性と目が合った。8~90代の登山姿が可愛らしい女性て、私に笑顔を向けている。はい、頑張って!と言っているように。男坂を行かない訳にはゆかぬ。太腿が痛くて上がり切る前に一休みした。

それからも薬王院の後ろの階段に始まり、何度も現れる急な階段に足が痛くなった。

が、楽しくて仕方なかった。山百合だ。女