裕一と怜子は会社の同期として知り合った　

大阪本社採用だったはずが滋賀工場勤務になった裕一に何かと気遣いしてくれたのが近江美人の怜子だった

当然の成り行きで付き合いが始まり湖東の酒場での週末デートが二人の距離をさらに近づけた

小雪舞う初詣は多賀大社へ一の鳥居から歩く

買い換えたスーツ姿のすぐ横を半歩遅れて歩く小柄な絣の着物が新春風景に映えた

本殿にお参りし二人で引いたおみくじ、裕一は大吉、怜子は凶、もう一度とせがむ彼女に僕の運を分けてあげるからと笑って断った青春時代の思い出

あの時そうあの時代に戻れたなら怜子と結ばれ添い遂げられたのだろうか