吾子抱いて風鈴の音に夕涼み



 「アロマ」の句


 蝦夷の地に郭公を聞く見晴台

 里帰り夏の風情にとっぷりと

 午後五時の明るい柳川川下り

 赤ん坊暑さに眠れぬ夏盛り

 モネの睡蓮を見に美術館へ

 陶製の風鈴傾ぎ鳴るさまよ

 吾子抱いて風鈴の音に夕涼み

 夕間暮れ軒端に風鈴忙しなく

 蝉時雨煩きまでの駐車場

 あの夏は夾竹桃の花彩に

 ファミレスの駐車場に聞く蝉時雨 



  「前田普羅」の句


 月見草大輪能登の夜をありく

 田植水あふれて能登の崩れけり

 珠洲人やしぶきをあげて苗投ぐる

 夏山や鯖の海より色濃くて

 鯖寄るやあけくれ黄ばむ能登