サッシ越し朱く巨大な星流れ



 創生か滅びか小涌谷晩夏  佐藤鬼房

 病院のチャイムが告ぐる晩夏かな  細見綾子

 一人また一人ビル出て晩夏かな  植松紫魚

 夜蝉の鳴きうつりしも晩夏かな  細見綾子

 ステーキはミディアム湖の晩夏光  小池龍渓子

 焼茄子黄檗寺の晩夏かな  伊藤観魚

 オリンピック終わり寂しき晩夏  アロマ

 孫三人浴衣そろへて秋立つ日  及川貞 夕焼

 指先の影に秋立つ弥勒仏  中村房子

 朝雲の生絹びかりに秋立てり  西村博子

 方方にひぐらし妻は疲れている  金子兜太

 蜩の鳴く隈々に道通ず  右城暮石 声と声

 降るやうに蜩が鳴