連載:

「お盆2021年」

小ぶりの黄色い百合が目を引いた。白いリンドウもいい。店頭には仏花が花束になって売られているが、一目でお店が作ったものと分かり味気ない気がした。

お墓参りには今年も行けなかった。手を合わせたい。

「仏前に供えるんですが、この百合と白いリンドウ、おかしいですか?」
「いいと思いますよ。」

そう言って店員は百合を二本選んだ。
「もう少し咲いたのにして下さい。寂しい感じにしたくないんで」

開いたものは少なかったが、何本か引き上げて合わせた。

「このカスミソウも入れて下さい」
そう言うと、店員は一本のカスミソウをハサミでパチパチ切り離した。

「増えます