炊きたての光るご飯は、目にも舌にもご馳走だ。普段は玄米を食べているので、スイーツ並みに甘い。そしていつもホッとする。
本にもそんな物がある。高田郁だ。江戸時代に芯を持って生きた女性、それも歴史上の有名人ではなく、庶民を描く。
本は知らない世界や生き方をリアルに体験させてくれるが、これはまるでご飯のようにブレない生き方を描いている。
8月10日に11巻が出ると知り、買ったままま読んでいなかった10巻を手に取った。『あきない正傅』だ。
若く美しい主人公「幸(サチ)」の世界に、すっと入り込む。家族の愛情に恵まれなかった幸は、商売一筋、売る側の人間も買う
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