窓の外晩夏宵闇安らかに



 華やかに木魚を叩きたく晩夏  櫂未知子 蒙古斑

  葉を閉ぢてかたばみ睡る晩夏かな  樋笠文

 窓の外晩夏宵闇安らかに アロマ

 蝦夷晩夏旅の若者脛長し  北野民夫

 笙の譜のうす紙たたむ晩夏かな  山本洋子

 オカリナを吹いて晩夏の庭巡る アロマ

 長き髪手に持ちて梳き晩夏光  大橋敦子

 金魚提灯ともす其所だけが晩夏の町  長谷川かな女 花寂び

 あめだきの鯉の切り口夜の秋  花谷和子

 おほははの昔話や夜の秋  福田蓼汀 山火

 夜の秋のサンシャインビル見て眠る  岸田稚魚 紅葉山

 ペン止めて聴きゐるバツハ夜の秋  佐