ウイルスをめぐる世にも不思議な物語⑤(講談社現代新書「ウイルスは生きている」より)

前回ウイルスが宿主と共生することを述べたが、その具体例を紹介したい。

昆虫の種類は多いと言われているが、その中でも蜂の仲間は多い。

そして昆虫同士の生存競争も熾烈である。

寄生蜂の仲間も多いが、その中にカリヤコマユバチという小さな蜂がいる。

この蜂は、アワヨトウという稲などを食害する蛾の幼虫に産卵する。

生みつけられた卵は蛾の幼虫の中で育ち、成長して二齢幼虫になると、脱出の準備が始まり、脱皮する。

この脱皮殻が脱出のための通り道となって蛾の幼虫の外に出て繭を作り、蛹となって成虫となる。

このとき、蛾の幼虫は皮を破られても体液が流出することも