遠い記憶 <母の横顔>

幼い頃、私は所謂ママっ子だった。

女二人姉妹で、姉は父方の初孫だったせいもあり
親戚中から可愛がられ、あちこちからお呼びがかかって
一人で親戚宅へ泊まりに行く事も多かった。

姉が不在の時は、私が母を独り占めできる。
普段は姉に向きがちだった母の目を
子供心に何とか自分に関心を向けてもらいたくて
疎まれながらも母の傍に付いてまわっていた。
もっと母に甘えたかったのだろう。

父はサラリーマンだったが、時代は高度成長期で
いつも帰りが遅く、出張も多かったので
子供の頃、父と一緒に過ごした記憶はあまりない。
この時代はほとんどそうであったように
我が家でも