ここに引っ越す前、山の一軒家に住んでいた。窓から珍しい野鳥や動物がよく見られ、それだけで心の豊かさを感じていた。
滅多に車の通らない道路の崖に、毎年夏至の季節になると白から黄に変わる蔓性の花が垂れ下がり、広い範囲に咲いていた。そこで車を止め春の柔らかい日差しを浴びながら、名前も知らない花と香りを妻と二人で楽しんだ。
その花の名前を知ったのは数年後だった。忍冬(ニンドウ又はスイカズラ)・・・冬の寒さにも忍耐し、葉が枯れず落ちないことから忍冬と書くらしい。
妻の性格は忍冬とは程遠く、私を騙し陰で遊んでいた。それがバレると家出をする、そんなことを数回繰り
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