90000km

44年前、当時20歳の大学生だった僕はバイトして買った中古のCB250Tで初めての北海道を目指していた。東京 有明埠頭から北海道 苫小牧行きのフェリーに乗り込み、雑魚寝の2等船室の片隅で30数時間という長く退屈な船旅に耐えていた。
彼も退屈してたのだろう、一人のバイク乗りが話しかけてきた。
もうすぐ30才になる彼は、どうしても今の愛車でもう一度北海道を走りたくて仕事を辞めてこの場所にいた。京都西陣で染色の職人をしていた彼のマシンは、パールホワイトのBMW R100RS。

フェリーが苫小牧の港に着く前、2階の駐輪スペースに佇む彼のマシンを見た時の衝撃は今