遠い記憶 <父のサラダ>

不器用な父だった。

愛情表現が苦手で
子供と遊ぶという事も滅多にしない人だった。
だから私の子供の頃の記憶に父が一緒にいる場面は少ない。

当時はそれが当たり前のようだったが
我が家でも家事、育児は母親任せだった。
父は仕事で帰りは遅く、出張も多かった。

母も寂しかったのだろう。
父に小言を言うようになり、喧嘩も多くなった。

私が小学3,4年だった頃、父は単身赴任をしていて
時々洗濯物を持って帰ってくるという生活をしていた。

夏休みのある日、母は私を呼び
私に父の単身赴任先のアパートへ泊まりに行くように言った。
私は何処であれ、泊まりに行けること