鈴木由美氏著「中先代の乱」序章 鎌倉幕府と北条氏 前編

序章は中先代の乱とは直接関係はないが、中先代の乱の前史であり背景である。まず筆者は鎌倉幕府の成立について、治承4年(1180年)から建久3年(1192年)まで複数の説があるとしたうえで、治承4年説を支持している。治承4年は源頼朝が鎌倉に入った年である。鎌倉は前九年の役の英雄、源頼義ゆかりの地である。建久3年は頼朝が征夷大将軍に任官した年だ。私は小学生の時、鎌倉幕府成立について「いい国(1192年)作ろう 鎌倉幕府」と年号を暗記した。

頼朝が正治元年(1199年)死去後、頼朝と北条政子の子、頼家が2代将軍となった。しかし彼は当時18歳、御家人たちの合議制