連載:オナガのいるところ、いたところ  前編

オナガのいるところ、いたところ  前編

オナガのいるところ、いたところ  前編


 「ほっとすぺーす」で「茂吉のアマケラ」を書くために『歌集たかはら』を読んでいたら、なんとオナガの歌があった。茂吉たちの一行が上山から月山の麓へ向かう途中である。これはおもしろいものにぶつかった。というのは、山形県にオナガが棲むようになったのはそう古いことではないからだ。なにかで読んだような記憶があって、確か戦後のことだったように思っていた。茂吉はすでに東京暮らしが永いから、おもに関東平野に生息するオナガを見知っているはずで、この特徴のある鳥を誤認することはないだろう。

尾長鳥道のべの木に飛び交へりあはれ美し