柿剥いてゆるり賞味の夕べかな



 もぎたての朝の柿よく冷えてゐし  井上明華

 あるときの生き甲斐柿の冷たさは  北原志満子

 冷蔵の柿新鮮で美味なりし  アロマ

 いろに出て柿の大和に鐘のこゑ  松本雨生

 こりこりと柿食む音のはや夜更け  大野林火

 きよう引けた電灯皿の柿に栄え  秋庭俊彦 果樹

 さみしさの種無柿を食うべけり  鷹女

 ゆるゆると近江の柿の色づきぬ  葉狩淳

 もぎ竿の届かぬ柿が甘さうな  月形幸子

 夕日真赤に湖へ葉ふるふ若狭柿  西村公鳳

 夕日より降り隣人の柿くるる  佐野美智

 嫁くと決め素直に柿をむいてをり  市川紫苑

 太