一粒に一つぶの雨実むらさき しおやきみこ 雨に色深めてゆきぬ実紫 稲畑汀子 駐車場に小粒鈴なり実紫 アロマ かたまつて日を返しけり実むらさき 宮津昭彦 実むらさき銀座一丁目の路地の 杉浦典子 かたまつて日を返しけり実むらさき 宮津昭彦 日を弾く枝八方に実むらさき 新家豊子 八重雨に色を極めり実紫 山崎稔子 実紫…
大夕焼鴎の群に漣す 藤村美津子 夕焼の影絵となりて鳥渡る 大森井栖女 灯台へ淡い夕焼け暮れの空 アロマ 夕張の夕焼色のメロン食ぶ 苑田ひろまさ キャニオンの七色変化夕焼くる 利根里志 クレソンと夕焼け摘んだはずなのに 田村みどり 高階にゐて夕焼け褪せゆけり 黒澤登美枝 ビー玉をはじけ出でたる夕焼かな 中野京子 …
角伐りの放たれし鹿ぴいーと啼く 北崎展江 角伐られ一途に水を呑みゐたる 戸栗末廣 角伐られし鹿の韋駄天走りかな 久染康子 一品の肴なるとは蜂の子煮 飯塚ゑ子 蜂の仔を食べて育ちし鷹渡る 今井千鶴子 蜂の子の炒りしをつまむ夜の信濃 大崎紀夫 蜂の子が美い甘いと信州人 東亜未 蜂の子は耳に良いとかいう話 アロマ …
もぎたての朝の柿よく冷えてゐし 井上明華 あるときの生き甲斐柿の冷たさは 北原志満子 冷蔵の柿新鮮で美味なりし アロマ いろに出て柿の大和に鐘のこゑ 松本雨生 こりこりと柿食む音のはや夜更け 大野林火 きよう引けた電灯皿の柿に栄え 秋庭俊彦 果樹 さみしさの種無柿を食うべけり 鷹女 ゆるゆると近江の柿の色づきぬ 葉狩淳 もぎ竿の届かぬ柿が甘さ…