YSブランド

 吉田修一の「ブランド」を読了した。著者は、芥川賞作家であるが、純文学作品のみならず、エンターテインメント系の作品も手掛けている。本書は、著者が様々な媒体に発表してきたエッセイ、紀行、掌編小説の単行本未収録作品を集めた作品集である。タイトルの「ブランド」は、収録作品のかなりの割合が、有名な大企業、ブランドの依頼で書かれたものであることから付けられたものと思う。
 収録された各作品は、二、三ページから数ページのものが多く、特に梗概は書かない。本書の中でも書かれているが、著者がブレイクしたのは2007年に刊行され、映画化もされた「悪人」であり、著者の作品は「