連載:一語一恵

いつものところで


 散り急ぐ<紅>や<黄>の葉が風に舞う
   
    初瀬の寺の仁王門をはいると
     早朝の伽藍に静寂が沁みわたっていた

   登廊の吊り行灯にはまだ灯りが灯っていた
   その仄かな灯りの温もりのなかを
   黄色い衣の修行僧が二人並んで石段をおりてきた
   勤行を終えて僧房に帰るのだろうか
   彼らの朝ははやい!!

   修行僧の姿が消えるのを待ち

  いつものところに立つ
   参考にする構図は頭の中にありながら、模写なのに模写ではない
   なんだか禅問答のような気分になる
   そんな構図の習作を始めてどのくらいになるの