連載:古典芸能

今年になって他界した噺家の思い出

自身が後期高齢者に間近だからか、著名人の訃報が気になってしょうがない。
今年、人間国宝の三遊亭小三治(敬称略/以下同様)、上方落語の笑福亭仁鶴、奇術のパルト小石(ナポレオンズ)など、多くの寄席演芸家が亡くなった。
今回、国立演芸場で観たことがある、演芸家に絞って思い出をまとめてみる。
全てを網羅した訳でないことを、お断りしておく。

■鏡味仙三郎(74歳/1月30日没)太神楽曲芸師
国立演芸場2019年11月上席に、息子の仙志太郎、弟子の仙成の三人で出演したのが、私が観た最後の高座である。傘の曲で、回している傘から鞠を落とした。仙三郎の失敗を見たのは、こ