ミトン編む余り毛糸でふっくらと



 猿猪に次ぎて熊出で冬に入る  長田秋男

 栗拾ふ熊棚ありしところまで  根岸善行

 赤いオーバーに夕暮れの紺深まりぬ  甲田夏湖

 オーバーを預け夜会に紛れゆく  稲畑廣太郎

 ツイードのオーバーコート二つ持つ アロマ

 落葉厚し飛騨の総社の大銀杏  田中藤穂

 掬ひては銀杏落葉をまた散らす  藤本艶野

 蒼泥む午後四時の公孫樹落ち葉かな アロマ

 母に子に銀杏落葉の明るさよ  関薫子

 カフェテラス銀杏落葉の吹き溜り  稲岡長

 銀杏落葉灯のともりゆくカフェテラス  山岸明子

 黄金の銀杏並木に蒼い空 アロ