蕪おでん丸ごと並ぶ鍋の中



 俤や目鼻かきたる赤蕪  会津八一

 ふと訛出て天王寺蕪買ふ  千賀静子

 スライスの蕪の漬物美味かりき アロマ

 蕪まろく煮て透きとほるばかりなり  秋櫻子

 蕪洗ふ鞍馬の水の早さかな  赤塚五行

 甘んじて引き立て役のパセリかな  町田睦夫

 水平線皿に残ったパセリかな  岩崎香代子

 三年の任期の官舎パセリ蒔く  井水貞子

 隅田に老い昼の酒場のパセリ皿  古田海

 ハンバーグパセリを添えてジンジャーエール アロマ

 健やかなパセリのための白き皿  鳥居おさむ

 パセリまできれいに食べて誕生日  加古みちよ「冬菜畑」