116 「スクラップ・アンド・ビルド」羽田圭介 芥川賞作品

  地方の3流大学を卒業し、1度就職したが、厳しい労働に耐えられず退職してしまった健斗は、今は、次の就職先を見つけるため、あちこちの入社面接を受けながら、司法書士の資格を取るため自宅で試験勉強をしている。家においてもらっているような居候の立場なので、祖父の介護の仕事を、いくつか頼まれ、その約束を守って自宅で介護を手伝っている。祖父の話し相手、祖父の入浴の支援、祖父のおやつの用意、あと、デイ・サービス等の送り迎え・応対などである。父は死に、母が働き、家計の主たる部分を担い、祖父の年金を加えて生活している。その生活が、4年にもわたって続き、ベッドに横になるこ