脇から覗き込む。長い睫毛の下にぷっくり丸い瞳が見える。一歳の孫は私に抱っこされ、一心にテレビを見ている。
昨夜、5時半まで仕事した後、一度帰宅し黒豆と息子が買って来た軟骨と鮪を持った。
街には煌煌と灯りがともり、飲み屋の前には人が溢れている。既に年末年始の休みに入っているのだ。
空気は冷たいが重ね着したダウンのお陰でそれ程寒くはない。
私の癌が再発しないのは、人のために生きているからではないか、とバイクを走らせながら思った。
帰り際バサマが言った。
「肩を揉んで」
バサマの正面に座る爺様は、夕方になると「不穏」になる。その顔付きに気付いた時よく