新海苔を肴に一献傾ける



 煮凝りや封じ込めたる絵空事  鈴鹿呂仁

 煮凝やぷるんと星座盛り上る  白澤良子

 煮凝や漁師町なる我が生家  中川悦子

 煮凝の出番はなくてピザ届く  宇垣みきえ

 鍋底に煮凝りを見てほくそ笑む  アロマ

 朝餉にて夫と煮凝り分ち合ふ  中川悦子

 煮凝の舌に崩るる香りかな  稲畑廣太郎

 煮凝のぷるぷるをまづ頂きぬ  鈴木榮子

 箸すべる煮凝に透き幼き日  北岸邸子

 留守たのむ夫に煮凝鱏(えい)ひらめ  佐藤美紀

 煮凝を崩し気儘といふ時間  増成栗人

 星凍てて静寂のなかの鎮守の灯  穴澤光江