「With癌」という選択

(日本経済新聞「書評」アシーナ・アクティビス著「癌は裏切る細胞」(梶山あゆみ訳 みすず書房) ’22年2/5朝刊より)

癌というのは、本来正常な細胞だったのに、何らかのキッカケで異常増殖し制御不能になり、正常な細胞や臓器などを傷つける。それも人間だけでなく、犬や植物のサボテンなど、身近なあらゆる多細胞生物に発生する。元々は、紛れもない自分の正常細胞が、ある日突然”裏切り行為”をした結果だ。

この癌というものには、その性質や振る舞いに”生命進化”と密接な関係が見て取れる。がん細胞は進化を重ね成長するのだが、そのスピードは正常細胞に比べると桁違いに早いの