山肌に傾れる若葉七色に



   「アロマ」の句


 カシオペア耀き増して軒にあり

 九重の朝霧覆う露天風呂

 水清く空蒼く梅に未だ早し

 山頂に瓦光らせ寺のあり

 埋め立て地七歳が草木を写生する

 カフェに見る若葉光って渦巻いて

 柿の木に柔し若葉の点るごと

 眠り覚め若葉の夕暮れ迫る庭

 五月雨に若葉麗し午後の道

 山肌に傾れる若葉七色に


   「三橋鷹女」の句


 春昼の睡きポストに文託す

 春愁の椎を見つけて歩み寄る

 東風の街窓おきて瑪瑙を商へる

 夜はかなし淡雪明り瞳にぞ馴れ

 詩に痩せて二月渚をゆくはわたし

 青沼となる青い野の