連載:日常1

「ママが転んだ」

ドスンと重量感のある音がしたので、鏡の中を探した。

「ママが転びましたよ」

私は男性美容師を呼ぶ。ママは私にコーヒーを出そうと、コーヒーメーカーの前に行き、椅子に座ろうとしたらしい。

大丈夫、こんな事は初めてだと言っているが、私は客だ、不安でしかない。

髪を洗った後にカットするのかと思ったが、乾かした後ブローを始めたのでこちらから「カットは?」と言った。分かれ目も左右逆になっている。

なんと言っても白髪染めが額に付いているし、それを拭こうとして私の眉は半分になったというのに気付いていない。
「店長!私、大丈夫?」

何度か大きな声を出したが、「