「もう少し左を」とルンバが耳元に口を寄せる。
素直に向きを少し変えてグイッと押し込む。
夫婦の激しい息遣いが交差する。
猛吹雪の中、雪かきをしているのは私の家だけだ。
目を開けられない程の強風が作り上げた膝程もある吹き溜まりをスノーダンプに載せて空地へ運ぶ。
「山を築くと運ぶのが大変だから、平らに捨てて」とルンバが寄って来て云う。
近寄らないと声が風で吹き飛ぶからだ。
2時間程前にえりも町の暴風雪警報が解除されたから、もうそろそろこちらも解除されると思うのだが、風の勢いは衰えない。
何とか車を道路まで出せるようになりスリスリが出勤していった。