都会のオープンカフェに秋の声



 格子戸を曳く手の影や秋夕焼  黒滝志麻子
 
 玻璃越しの空に映ゆるや秋夕焼  曽根京子

 母さんと呼びたきやうや秋夕焼  有賀鈴乃

 草ロールの芯まで染めし秋夕焼  大内和憲

 秋夕焼揺らめくかに黄金色  アロマ

 味噌蔵の暗さに深く秋夕焼  齊藤實

 ひとすぢの日矢を残して秋夕焼  塩貝朱千

 秋夕焼灯台までの散歩道  アロマ

 海のほか染めるものなし秋夕焼  島玲子

 秋夕焼擂鉢の筋まろやかに  苑実耶

 店頭の魚あをあをと秋の声  平沢恵子

 雑踏にふと足止めて秋の声  伴明子

 白壁をそぞろ歩