春の宵街を見渡し朧なる


 
 がやがやと谷中を歩く暮春かな  千田百里

 暮春なる月島もんじゃ焼き通り  能村登四郎
 
 流木に腰かけてゐる暮春かな  小堀裕子

 古都暮春路地の伊太利レストラン  宮内とし子
 
 暮春の夜空眺めてのんびりと アロマ
 
 牛込の昔残せし路地暮春  稲畑廣太郎

  空濠に風屯する暮春かな  木村傘休
 
 佳き昭和なるや暮春の吊ランプ  安立公彦

 砂時計私が消えてゆく暮春  安居正浩

 暮春の窓辺に転寝心地良き  アロマ
 
 竹藪のもやひて雨の暮春かな  定藤素子

 懐石料理の程良き運び春の宵  楯野裕子