バーガー食(は)む 妻は不器用 さくら草

 妻はハンバーガーが好きだった。だけど、食べ方が下手だった。紙で包んだまま食べるところが苦手で、素手でパンをつかもうとした。

 「手が汚れちゃうよ。紙包みの中に口を入れて食べるんだ。口の周りが汚れるのは当たり前。あとで紙タオルで拭けばいいんだ … 」

 そういうふうに、ボクに世話を焼かれるのが嬉しかったのかもしれない。普通の料理とは違う、行儀の悪さが面白かったのかもしれない。

 そして、もう余命1ヶ月くらいに云われてた頃(妻は気が弱いから、本人告知はしてなかった)、「ハンバーガーが食べたい」と言い出した。てりやきバーガーとか、フィシュバーガーとか、