連載:役員でござる

短編小説  役員でござる


ピーンポーン。
玄関のチャイムを押す。誰も迎えに出てこない。
毎度の事ながら、うちの家族はぼくをないがしろにしている。いつものようにちょっとむっとしながら家にはいる。

午後八時、やけに家の中がしんとしている。尋常ではない。茶の間に入る。小学三年の息子三人があごだけをテーブルにのせて座っている。目だけでぼくにあいさつをした。

「どうしたんや、皆、青白い顔して。まるでオバケやないか」
息子たちは三つ子である。名前を大、忠、翔と言う。いつも今時分はくんずほぐれず子犬のようにじゃれていて、テレビの音も聞こえない。もちろんチャイムの音も掻き消されてしまう。こ