陣馬山人蕎麦打ちくれぬ梅雨明けぬ　 水原秋櫻子 蘆雁以後

　除幕式まで惜春の蕎麦を食ふ　 能村登四郎

　蕎麦太く汁甘く秋しぐれかな 　上田五千石 琥珀
　
　蝶の昼韃靼蕎麦といふものを　 星野麥丘人

　月山の水に洗ひて走り蕎麦 　渡辺和恵

　三日月や地はおぼろなる蕎麦畠　 松尾芭蕉

　百千鳥蕎麦に七色唐辛子 　岩淵喜代子

　蕎麦に振る一味の味わいまた良かり　　アロマ

　風出でて蕎麦稲架の鳴る奥信濃 　有村節香

　武蔵野の端に蕎麦食む初時雨　 田中治夢

　風ゆきて紅透きとほる蕎麦畑 　草間時彦

　雉蕎麦を約し明年もよろしく　 矢