ある日突然、それは始まった。家には私一人だけだった。天井と床が、天文写真のようにグルグル回り始めた。立っていられない。吐き気がする。
しばらくして治まったが、何か気分が悪いので、徒歩で10分の近所の内科へ行った。
医院は時間が12時半を回っていたので、閉まっていた。不安が襲って来た。
またグルグル回り始めたので、路肩に腰掛けた。しかし吐き気がして座っていられない。
格子の溝蓋ににじり寄ってえずく。空えずきばかり。片手でポケットを探り携帯電話を取り出して、辛うじて119番をタップした。
119番のどこですか?の声に医院の名前を告げた。すぐに行きます
連載:花万朶