朧夜のワイングラスに映る月



 水うまき地の酒を酌み朧の夜  成井侃 (ただし)

 鉄塔の柔らかく立つ朧かな  橋口礼子

 朧夜に心和みて温かく  アロマ

 灯台の光の中の朧かな  岩下芳子

 てつぺんに鷺の降り来る朧かな  栗栖恵通子

 朧夜の人の気持が分かる猫  小澤克己

 隠りゐる日々の長さや朧月  岡田史女

 朧夜の回るともなき観覧車  浅嶋肇

 朧夜のワイングラスに映る月  アロマ

 風紋の砂丘の空や月朧  高木邦雄

 露天湯に聞く潮騒や月おぼろ  水原春郎

 おぼろ夜の宿より祖谷の粉挽唄  小池洋子

 山鳥のひと声に春惜みけり