緋毛氈野点の席に青葉風



 初夏を三つ折にして投函す  平野多聞

 開け放つ茶屋縦横に初夏の風  善野烺

 初夏の色辺り様々充ち溢れ  アロマ

 初夏のかをり豊かに豆の飯  青山正生

 讃岐では饂飩江戸では蕎麦の初夏  稲畑廣太郎

 昼過ぎの初夏の日差しは寄宿舎に  瀬島洒望

 鴎群れ港横浜風は初夏  堀田こう

 半世紀前の若さに戻る初夏  稲畑汀子

 振り向けば初夏の陽炎目の前に  アロマ

 初夏の幼稚園より海の唄  隅田享子

 初夏の雷後に虹美しく  アロマ

 渓流の石飛び渡り青葉風  岡本明子

 子育ての鷺に風湧く青葉谷  木村