連載:とっても愛しているんです

掌編小説 とっても愛しているんです

喫茶風月堂の店内は、暖房がはいっていた。
ほどよい暖かさである。

十五坪ほどの店内は、お客がまばらで、ウェイトレスの話がやたらひびく。ここのウェイトレスはお客に気を遣わない。その分、客も気を遣わず、長居する事が多い。どことなくざわついている喫茶店である。

左右の壁に沿って、作りつけのソファが一直線に続いている。その前に四人用のテーブルが、中央を通路にして、等間隔で五つずつ並べてある。ぼくはこの作りつけのソファの一番奥に座る。そこが毎朝のぼくの指定席である。

ちょっとした雑誌社へ勤めているぼくは、時差出勤で朝が遅い。出勤前の朝九時、いつもここへ来てコ