竹取幻想  了(改稿)




終章の始まり 




窓を開けると、青い群竹を吹き抜けたさやかな五月の風が身を包んだ。西側の山、弥山と名付けたがその緑が陽に滴りながら輝いている。

十年過ぎた。動植物たちも人間も復活した。とは言え十年、まだみな幼いか若いが。着地してからのマザーはやはり全力でかつ深い愛情をもって、宇宙船に格納されていた遺伝子から養育したのだった。
「まったく大変よね。休む暇もないのよ。野も山も作って同時に町作りもしなきゃならないしね」マザーの能力は一秒で一兆回の演算能力を誇っていて、そんな彼女の八面六臂ー彼女の活躍に