武蔵野の八月十五夜夏の月 



 ふるさとの夜空ゆたかに夏の月  鴨下昭

 青をもて描く闇あり夏の月  宮内とし子

 地下鉄にゐる間にやせし夏の月  石田きよし

 明日食ぶる飴ぱん買ひに夏の月  原田小芝

 おおいなる立夏の月や酒を買ふ  岡田史女

 夏の月水の匂ひの佃島 中村洋子

 木立に細く掛りて夏の月  アロマ

 箱根路の湯宿を照らす夏の月  吉田博行

 夏の月アスパラガスを素揚げして  ふけとしこ

 千年の甍の波や夏の月  江見悦子

 夏の月 浴衣で歩く石畳  アロマ

 オレンジの色なり夏の月丸し  上辻蒼人

 語らひにほどよき光