仏教のたとえはなしに、禍福はあざなえる縄のごとしという説話がある。
ある夜、男のところを訪問するものがあった。戸を開けると、そこには美しい女が立っていて、自分は福を与える神であるという。男はたいそう喜んで、家に招き入れた。しかしながら、後ろから醜い女が伴って家に入ろうとする。おどろく男に向かって醜い女は、自分は災いを与える神であるという。男はこの女は要らないとして、追い出そうとすると、女は言う、
「それは愚かなことである。さきの女はわたしの姉で、わたしたち姉妹は、かたときも離れたことがないのである。わたしを追い出せば、姉も居なくなる」
というと、醜い女
連載:闘病日記