5月24日 さつま読売文芸
俳句 大川畑光詳 選
蝙蝠の飛び交ふ夕べ隼人塚 霧島 尾ノ上春風
(評)蝙蝠は初夏になると日没直後から巧みに群飛しながら昆虫を捕食する。隼人塚は諸説あるようだが、大和朝廷に平定された隼人族の供養塔という説があった。地名にはそこに生きた人々の歴史が刻まれている。蝙蝠の飛び交う夕刻、作者は石塔を見上げながら朝廷に抵抗し、敗れた隼人族の気骨と無念に思いを馳せる。地霊との交感から生まれた佳句。
若葉風パン屋出て来る紙袋 霧島 久永のり尾
白襟にぴんとアイロン夏来る 霧島 薗 考湖
葉桜や手話にぎや