その昔河鹿鳴く声聞いたかな



 闇と灯を一枚に織り青簾  長山あや

 巻きあげて平八茶屋の青簾  鈴木ゆき子

 干菓子屋の竹の香りの青簾  梅谷昌弘

 川筋の船宿どこも青簾  清水美子

 母の気配する終の間の青簾  鈴木愛子

 アイリスに空の水色降りてくる  藤井啓子

 アイリスに紫の風宿る午後  稲畑廣太郎

 アイリスに風を発たせて喫茶どき  豊田都峰

 アイリスや語りかけたき美少年  松田都青

 せせらぎに声まろばせて夕河鹿  鷹羽狩行

 河鹿鳴く岩魚の川のせせらぎに  山形悦子

 風あをき瀬にトレモロの河鹿笛  高瀬史

 その