連載:恋文仮想空間 三十一文字

恋文仮想空間  三十一文字(一)


後朝の君の背中に指這わせ 三十一文字の大和歌詠む


(一)

山裾の蛍飛び交う小川にて 君が声聞くうれしひと時


二つ三つ数える子等の声透きて 暗き小川に蛍飛び交う


あけぼのの河原の芒と恋をする 君がレンズは露を抱きしめ


逆光に透かされている汝が化身 恋に身もだえ愛に泣き濡れ


野ざらしの恋の欠片は朝露の 光の粒に虹と輝く


風花の枯野を飛びて帰り来よ 冬の螢よ母のみむねに


逢いたいと言えず内に閉じ込める 恋の苫屋に天邪鬼住む


双眸の冷たき光意識して 鏡眠れば君に抱かれる


豊かなる乳房の奥の赤い血を 燃え滾らせて恋は翔けぬく