夏の夜のはぐれ蝉鳴く一人寝は 風の流れに星の音聞く
(二十一)
野ざらしの恋の欠片は朝露の 光の粒に虹と輝く
願い事うちに秘めて仰ぎ見る ブルームーンに君の面影
光降るブルームーンの野を行けば 愛し恋しと叢は泣く
八月の野原に伏して恋語る 二人に降り積む蒼い月光
空蝉のひとつ踏まれて声消える 鈴虫松虫叢にあり
ベランダに鳥が忘れた月見草 薄黄の花びら恋は儚く
恋しさは遠くにありてなおつのる 冬の夜空の流星行く先
火灯しの寂しき夕暮れ川に立ち 水面になぞる君の面影
だらだらの坂下りたる君の背に 放恣な時間甘く委ねる
連載:恋文仮想空間 三十一文字