花の谷幻の蒼いポピー咲く



 おのづから罌粟紅白に蔬菜園  飯田蛇笏 春蘭

 およそ吹きひろがるばかり罌粟の花  後藤夜半

 ヒマラヤを越えなん花弁罌粟散れり  依田明倫

 ゆれ交はし川風ひろき罌粟畑  岡本まち子

 六月や大農園の罌粟畑  松藤夏山

 別荘にはさまる農家罌粟咲けり  大島民郎

 予感みなつぎつぎひらく罌粟の花  小河信國

  二階より風を透して罌粟を見る  岸田稚魚

 芥子咲いてこころのどこか飢ゑてをり  角川春樹

 芥子の花昼が沈んでゆくやうな  栗島弘

 むらさきの薄暮いたりて芥子ひらく  上田五千石

 ヒマラヤの青き芥子恋ひ仏生会