宵の明星仄かレモン色 



 小粒牡蠣にレモンしぼりて今日ありぬ  細見綾子

 レモン買ふ五六顆積まれ中の一つ  細見綾子

 スライスのレモンを入れて紅茶碗  アロマ

 なまことレモンで満たす朝日のなかの飢餓  金子兜太

 レモンの黄に迫る薄暮を春と思ふ  細見綾子

 卓に冬日 レモン一個が漂着めき  伊丹三樹彦

 喫茶のカウンターにレモン学生街  アロマ

 掴み買ふレモンや冬も終らむと  岡本眸

 牡蛎フライレモン絞って醤油懸け  アロマ

 檸檬樹下籠満ちて冬麗らなり  水原秋櫻子 蓬壺

 道ふさぐ檸檬の枝に花匂ふ  水原秋櫻子 餘生

 長風邪の或る日