連載:薩摩よみうり俳句

薩摩よみうり文芸  7月12日

薩摩よみうり文芸  7月12日
  俳句  選者 大川畑光詳

赤腹や水面に映る山の影  南九州 日笠こうじ

(評)季語は赤腹で夏。赤腹は蠑螈(いもり)のことで、腹部が赤いことからこの名がある。谷間の植田であろうか、緑の濃くなった山影が映っている。水面が微かに揺らぐ。赤い腹を見せて翻るように蠑螈が泳いだのだ。水底を見るとうっすらと泥を被って蠑螈が這い蹲っている。作者の凝視の眼がある。

嶺入(みねいり)の僧と出逢ひし古道かな 
                  霧島 内村としお
敗戦日麦飯を炊く大羽釜      鹿児島 中村池塘子
汗拭きし九段の母や