我が家の仔たちⅤ

 第五話、キキちゃん。

 我が家には四匹の黒猫がいるが、一番存在感の薄いのが今日お話しする「キキ」です。

 それは妻が職場近くの野良にキャットフードをあげ始めて二年ほどになるころだった、寂れたアーケード街の端にある営業を止めた定食屋のわきの路地をねぐらに野良の兄弟が棲んでいた、三匹の兄弟猫が妻の餌を待っているようで、毎日餌を届けているようだった。

 ある日妻が遠慮がちに気になる仔猫がいて、目がつぶれそうになっている、一度捕まえて治療したいと言う「これ以上飼うのが無理なら治療だけでもしてあげたいんだけど」と遠慮がちに言うので、うまく捕まえられるのか聞